遺産分割調停の申立てを検討すべきケースと手続きの流れ
相続が発生すると、遺産の分け方を相続人同士で話し合う必要があります。
しかし、相続人はそれぞれの利益を考えるため、話し合いがまとまらない場合も少なくありません。
今回は、遺産分割調停の申立てを検討すべきケースと、実際の手続きの流れを見ていきます。
遺産分割調停の申立てを検討すべきケース
遺産分割調停は、家庭裁判所で中立な立場の調停委員が間に入り、話し合いを進める制度です。
以下のような場合には申立てを検討するとよいでしょう。
- 話し合いが平行線のまま進まない
- 特定の相続人が協議に応じない
それぞれ確認していきましょう。
話し合いが平行線のまま進まない
相続人同士の意見が対立し、何度話し合っても合意できない場合です。
たとえば「現金は均等に分けたい派」と「不動産は特定の相続人に残したい派」が譲らないケースです。
特定の相続人が協議に応じない
遺産分割協議に出席しない、連絡が取れない、書面に署名しないといった行動をとる相続人がいる場合です。
この場合、家庭裁判所の調停手続で強制的に話し合いの場を設けることが有効です。
遺産分割調停の手続きの流れ
遺産分割調停は、家庭裁判所に申立てを行うことで開始します。
おおまかな流れは以下のとおりです。
①申立書の作成と提出
②裁判所からの呼出し
③調停期日の実施
④合意成立または不成立
それぞれ確認していきましょう。
①申立書の作成と提出
遺産分割調停申立書に、相続人の情報や遺産の内容、調停で解決したい事項を記載します。
必要書類として、被相続人の戸籍謄本、相続人全員の戸籍、財産目録などをそろえます。
②裁判所からの呼出し
申立てが受理されると、日程の調整後、裁判所から相続人全員に調停期日の通知が届きます。
期日は1か月から1か月半程度先に設定されるのが一般的です。
③調停期日の実施
調停委員が双方の意見を個別に聴き、合意に向けて調整します。
そして、法的な基準やこれまでの解決事例を参考にしながら、妥協案や代替案を提示して合意を促すのが基本的な流れです。
期日ごとに進展があれば内容を記録し、次回までに必要な資料や評価額の確認を依頼される場合もあります。
④合意成立または不成立
合意が成立すれば調停調書が作成され、その内容に従って遺産分割が行われます。
合意できなかった場合は、審判手続に移行し、裁判官が判断を下します。
まとめ
遺産分割調停は、相続人間の話し合いがまとまらない場合や、協議に応じない相続人がいる場合に有効な手段です。
申立てには、必要書類の準備や財産の把握など、さまざまな作業が必要になります。
相続問題が長引きそうなときは、早めに調停の利用を検討してください。
法律の知識が求められるケースも多いため、できれば弁護士など専門家の助言を受けるのが理想です。
当事務所が提供する基礎知識
-
借地権の更新を拒否す...
借地権は土地所有者と借地人の重要な契約関係です。借地期間満了時、更新拒否には法定の「正当事由」が必要となります。この記事では、正当事由の内容と判断基準を解説しています。借地権更新拒否の正当事由の概要借地借家法は、借地人の […]
-
【弁護士が解説】建物...
賃貸物件の契約を更新しない、または解約する場合、貸主には「正当事由」が必要です。建物の老朽化はよく聞く理由ですが、それだけで立ち退きが認められるわけではありません。今回は、建物の老朽化が立ち退きの正当事由として認められる […]
-
家賃滞納者に対する建...
家賃の滞納は本来あってはならないものですが、家賃を払えずに滞納してしまい、それが慢性化しているような住人もいると思います。もっとも、滞納が続くと建物明渡・強制執行の手段で居住者を強制的に退去させることも可能です。家賃滞納 […]
-
遺留分侵害額請求の時...
遺留分を侵害されてしまった場合には、遺留分侵害額請求をして取り戻しを行うことになります。もっとも、いつ時効にかかってしまうのかを知っておかないと、気付いたときには請求ができないということにもなりかねません。また、時効を止 […]
-
相続放棄のメリット・...
相続は、故人の財産を引き継ぐ機会ですが、同時に予期せぬ債務を背負うリスクも伴います。その際に相続人が選択できる重要な選択肢の一つが「相続放棄」です。本記事では、弁護士の視点から相続放棄のメリットとデメリットを解説していき […]
-
手付解除の可否
売買契約の締結時に当事者の一方が相手方に対して金銭を渡すことを手付と言います。手付解除とは、不動産の売買契約締結時に手付を売主に支払うことで後に契約を解除できるようにすることを言います。手付解除をする方法は、買主側であれ […]
よく検索されるキーワード
弁護士紹介

弁護士 日高 伸哉【大阪弁護士会】
早めのご相談が早期解決に繋がります。 どのような些細なお悩みでも構いません。まずはご相談下さい。
困ったことや分からないことは、事態が深刻になる前に早めに弁護士に相談することが大切です。
当事務所は、ご相談の際にじっくりとご事情を伺い、その上でご依頼者様にとっての最善の手段を提案いたします。
初回の法律相談は無料です。(1時間程度)ご予約はお電話かメールフォームにて承っております。
- 経歴
-
- 関西大学法学部 卒業
- 登録年 年(旧61期)
事務所概要
名称 | 日高法律事務所 |
---|---|
所属弁護士 | 日高 伸哉(ひだか しんや) |
所属団体 | 大阪弁護士会 |
所在地 | 〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満5-9-5 谷山ビル6階 |
電話番号 / FAX番号 | TEL:06-6809-5337 / FAX:06-6809-5338 |
対応時間 | 平日:9:30~18:30 ※時間外は応相談 |
定休日 | 土・日・祝日 ※応相談 |
弁護士報酬等 | 料金は基本的に旧日本弁護士会報酬等基準によります。 |