公正証書遺言の効力が無効になるケースとその対処法
公正証書遺言は、2人以上の証人による立会いのもとで、公証人によって作成される遺言です。
そのため、公正証書遺言はより確実かつ正確に遺言の効果を発生させることができるという長所を持っています。
しかし、そんな公正証書遺言でも効力が無効になるケースがあります。
この記事では、公正証書遺言の効力が無効になるケースと対処法について解説します。
公正証書遺言の効力が無効になるケース
①遺言者に遺言能力がなかった
公正証書遺言を作成するには、遺言者は遺言能力を持っていなければいけません。
これは遺言の内容について正しく理解するための能力を指しますが、もし遺言者が認知症やその他精神病などによって遺言能力を持っていなかった場合には、この遺言は無効になります。
②証人に不適格な者が選ばれていた
公正証書遺言の作成には2名以上の証人を立ち会わせなければなりません。
しかし、その証人は誰でもいいわけではなく、推定相続人やその配偶者などの、遺言に対して強い利害関係を持つような者は証人になることができません。
さらに、未成年者も証人にはなれないことになっています。
もし証人に不適格事由があった場合には、その遺言は無効になります。
③口授がなかった
公正証書遺言においては公証人が遺言書を作成することになりますが、その際遺言者は遺言の内容を公証人に対して口頭で伝える必要があります。
これを「口授」と呼び、これを欠いた場合にはその遺言は無効になります。
病気によって声が出なくなったような人の遺言については口授を欠く可能性があるため、その有効性が争われる場合が想定されます。
もっとも、このような人の場合には筆談や通訳といった手段が使えるため、このような手段で作成された場合には遺言は有効になります。
④その他
他にも詐欺や強迫、錯誤などがあった場合には遺言は無効となりますが、被相続人が死亡している以上、相続開始後にこれが立証され遺言が無効になることはあまりないと考えられます。
さらに、公序良俗に反する内容の遺言も一般原則に従って無効となります。
公正証書遺言の効力が無効になるケースへの対処法
では、公正証書遺言が無効であった場合にはどのように対処すればよいのでしょうか。
まずは、自分の他に相続人がいる場合には他の相続人と連絡を取り、遺言が無効であると考えるかどうかを確認します。
この時、すべての相続人が遺言を無効と考えている場合には、遺言を無効として改めて遺産分割について話し合うことができます。
もし、遺言が有効であると主張する相続人がいた場合には、家庭裁判所による調停を行うことになります。
ここでは調停委員の助けを借りることで、他の相続人との合意を目指していくことになります。
調停委員は遺言の有効性について客観的な立場から意見を示してくれるため、本人らのみで話し合いを行うよりも解決の可能性が上がります。
調停によっても問題が解決しない場合には、裁判を起こすことになります。
この時には、遺言書が無効であることを確認する訴訟を行うことになります。
相続に関することは日高法律事務所にご相談ください
公正証書遺言においては公証人などによって正確性が担保されているため、効力が無効になることはないと思われがちですが、このようにさまざまな原因から遺言が無効になってしまうこともあり得ます。
遺言作成の段階で遺言が無効になることを避けたい場合や、遺言が無効ではないかという疑いが発生したような場合には、法律の専門家である弁護士への相談をおすすめします。
日高法律事務所では、相続に関するトラブルについてお手伝いをしております。
お客様によりそいながらサポートをしておりますので、お困りの時はお気軽にご相談ください。
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