遺留分侵害額請求の時効は何年?止めることは可能?
遺留分を侵害されてしまった場合には、遺留分侵害額請求をして取り戻しを行うことになります。
もっとも、いつ時効にかかってしまうのかを知っておかないと、気付いたときには請求ができないということにもなりかねません。
また、時効を止めることは可能かについても知っておきたいところです。
この記事では、遺留分侵害額請求の時効は何年かについて、止めることは可能かも含めて解説していきます。
遺留分侵害額請求について
遺留分とは、被相続人の配偶者や子ども、直系尊属といった一定範囲の相続人に認められる、最低限の遺産相続割合のことを指します。
これは相続人の生活保障などのために設けられており、遺贈などによって侵害された場合には、金銭の形で取り戻しを行うことが可能です。
そして、侵害を受けた遺留分権利者が、侵害をした(財産を受け取った)相続人に対して自己の遺留分にあたる金銭を請求することを、遺留分侵害額請求と呼びます。
遺留分侵害額請求の時効は何年?
遺留分侵害額請求の時効および除斥期間には、3種類のものが存在します。
遺留分侵害額請求権の時効
まず、遺留分侵害額請求権の時効として、相続開始の事実および遺留分侵害の事実を遺留分権利者が知ってから1年で時効消滅するというものがあります。
遺贈や贈与によって遺留分侵害があった場合、当該遺贈や贈与の事実だけではなく、それが遺留分侵害にあたることまで知っていないと、この時効消滅の対象にはなりません。
もっとも、遺言の無効が争われており、それに従った遺贈や贈与も無効であると思っている場合であっても、原則的には時効は進行します。
そのため、無効を争う場合であっても遺留分侵害請求はしっかりと行っておかないと、遺言が有効であった場合に遺留分すら取り戻せない事態になってしまいます。
遺留分侵害額請求権の除斥期間
次に、遺留分侵害額請求権の除斥期間として、相続開始から10年が経過すると請求権が消滅してしまうというものがあります。
これに関しては遺留分権利者の認識にかかわらず、停止や中断もなしで進行していくため、遺留分侵害額請求の際にはできるだけ早く行うことを心がけるべきといえます。
金銭支払請求権の時効
加えて、金銭支払請求権の時効として、遺留分侵害額請求権を行使してから5年で時効消滅するというものがあります。
これはどういうことかというと、遺留分侵害額請求権を行使すると、金銭の形で遺留分を返してもらうことになるために、金銭支払請求権というものが発生します。
これに5年の消滅時効が設定されているために、遺留分侵害額請求権の行使から5年間裁判上の請求を起こさないと、金銭の請求ができなくなってしまうのです。
そのため、遺留分侵害額請求権を行使したあとの手続は速やかに行うべきであるといえます。
遺留分侵害額請求の時効を止めることは可能か
先述の通り除斥期間を停止することはできませんが、遺留分侵害額請求権の時効および金銭支払請求権の時効については一定の方法で止めることが可能です。
詳しく見ていきましょう。
遺留分侵害額請求権の時効を止める方法
遺留分侵害額請求の時効を止めるには、配達証明付内容証明郵便の形で通知書を送る必要があります。
通知書の内容としては、請求者と相手方の名前、請求対象である遺贈などの特定、遺留分侵害額にあたる金銭支払を請求すること、請求日が挙げられます。
これに配達証明、内容証明をつけることで、通知書の到達の有無や、遺留分侵害額請求の有無などを後から争われた場合に、通知書の到達およびその内容を裁判の場で証明することが可能となります。
この発送は、郵便局でもインターネットでも行うことができます。
金銭支払請求権の時効を止める方法
金銭支払請求権の時効を止めるには、遺留分侵害額請求権に基づく金銭支払を求める裁判を提起することが必要になります。
また、相手方が金銭支払義務について承認したときも、時効は0からカウントされ直します。
相続については日高法律事務所までご相談ください
遺留分侵害額請求には複数の時効が設定されているため、できるだけ速やかに手続を進めることが重要です。
遺留分侵害額請求をしたい場合など、相続についてお悩みの場合には、法律の専門家である弁護士への相談をおすすめします。
日高法律事務所では相続に関するトラブルについてお手伝いをしております。
お客様によりそいながらサポートをしておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。
当事務所が提供する基礎知識
-
成年後見
■成年後見制度とは成年後見制度とは、精神上の障害などにより事理弁識能力を欠く常況にある者の身上監護の事務を第三者に委託する制度をいいます。身上監護の事務とは、具体的には介護や生活の維持、住居の確保、施設への入退所、医療、 […]
-
債務整理
■債務整理の種類債務整理とは、金銭債務の履行が困難になってしまった時に、債務の猶予や減額・免除によって対応することをいいます。債務整理には、任意整理・自己再生・自己破産の3種類があります。 〇任意整理任意整理は […]
-
手付解除の可否
売買契約の締結時に当事者の一方が相手方に対して金銭を渡すことを手付と言います。手付解除とは、不動産の売買契約締結時に手付を売主に支払うことで後に契約を解除できるようにすることを言います。手付解除をする方法は、買主側であれ […]
-
相続放棄のメリット・...
相続は、故人の財産を引き継ぐ機会ですが、同時に予期せぬ債務を背負うリスクも伴います。その際に相続人が選択できる重要な選択肢の一つが「相続放棄」です。本記事では、弁護士の視点から相続放棄のメリットとデメリットを解説していき […]
-
【弁護士が解説】不動...
相続財産に不動産が含まれている場合、揉め事を避けるため、管理が大変であるため、利用価値がないためといったさまざまな理由から、これを相続したくないという場合が考えられます。このような時に有効な制度として、不動産の相続放棄が […]
-
騒音近隣トラブル
不動産トラブルはさまざまなものが存在します。例えば、賃貸マンションなどに住んでいて、両隣や上下の住民による生活音、喧嘩による怒鳴る声、子供の声によるトラブル、一戸建て住宅の近隣にある工場から発生する騒音トラブル、エアコン […]
よく検索されるキーワード
弁護士紹介
弁護士 日高 伸哉【大阪弁護士会】
早めのご相談が早期解決に繋がります。 どのような些細なお悩みでも構いません。まずはご相談下さい。
困ったことや分からないことは、事態が深刻になる前に早めに弁護士に相談することが大切です。
当事務所は、ご相談の際にじっくりとご事情を伺い、その上でご依頼者様にとっての最善の手段を提案いたします。
初回の法律相談は無料です。(1時間程度)ご予約はお電話かメールフォームにて承っております。
- 経歴
-
- 関西大学法学部 卒業
- 登録年 年(旧61期)
事務所概要
名称 | 日高法律事務所 |
---|---|
所属弁護士 | 日高 伸哉(ひだか しんや) |
所属団体 | 大阪弁護士会 |
所在地 | 〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満5-9-5 谷山ビル6階 |
電話番号 / FAX番号 | TEL:06-6809-5337 / FAX:06-6809-5338 |
対応時間 | 平日:9:30~18:30 ※時間外は応相談 |
定休日 | 土・日・祝日 ※応相談 |
弁護士報酬等 | 料金は基本的に旧日本弁護士会報酬等基準によります。 |