【弁護士が解説】不動産を相続放棄する場合の注意点とは
相続財産に不動産が含まれている場合、揉め事を避けるため、管理が大変であるため、利用価値がないためといったさまざまな理由から、これを相続したくないという場合が考えられます。
このような時に有効な制度として、不動産の相続放棄が考えられます。
もっとも、不動産の相続放棄をしてしまってはかえって損をしてしまうような場合もあります。
そのような事態を避けるため、不動産を相続放棄する際にはどのようなことに注意しなければならないのでしょうか。
以下、この記事において詳しく見ていきましょう。
不動産を相続放棄する場合の注意点とは
そもそも相続放棄とは、被相続人の財産に対する権利をすべて放棄することを指します。
そのため、相続放棄を行うことで不動産の相続についても放棄することが可能です。
放棄すると、その不動産と自分は一切関係がないものとなるため、固定資産税を支払う義務から逃れることができます。
もっとも、これによってすべての義務から逃れることができるとは限りません。
不動産の相続放棄にはさまざまな注意点が存在します。
不動産の管理義務を負う可能性がある
民法第940条によると、相続放棄をしても、その放棄によって相続人となる者が相続財産の管理を始めるまでは、当該不動産の管理を継続しなければなりません。
そのため相続人が決まるまで不動産の管理義務が残ってしまうことになります。
また、相続放棄を行うと次順位の相続人が相続人となってしまうため、事前に協議をしておかないとトラブルの原因になってしまうので注意が必要です。
では、すべての順位の相続人が相続放棄をしてしまった場合にはどうなるのでしょうか。
このような場合にも、やはり次の引継ぎ先が決まるまでには本来の相続人に管理義務が残ってしまうことになります。
もっとも、相続人等が申立てを行えば最終的に家庭裁判所によって選任される相続財産管理人が次の管理者になり、管理人が不動産の国庫帰属を行うことになるため相続人は管理義務から解放されます。
しかしこの申立てには数十万円以上かかってしまうため、かなりの手間とコストがかかります。
管理義務に違反し不動産を放置してしまった場合、倒壊や事故によって他人に損害が発生してしまうことも考えられます。
そうなると、損害賠償請求をされてしまう危険もあるため注意が必要です。
相続したとみなされる行為を行ってしまうと、相続放棄ができなくなる
相続放棄には三か月の期間制限があります。
そのため、相続放棄をしないままこの期間が過ぎると「単純承認」といって相続したとみなされてしまいます。
また、相続財産の処分をしてしまった場合にも、相続したとみなされる行為となってしまい、相続放棄が認められなくなります。
不動産以外の財産も相続できなくなる
相続放棄を行うと当該不動産以外の財産についてもすべて権利を放棄することになるので、預貯金など他の財産を相続することができなくなってしまいます。
また、他の相続人が当該不動産を売却し利益を得ても、売却益を得ることができません。
そのため、当該不動産の価値が高い場合や、相続財産の中に他の価値ある財産が多く含まれる場合には、不動産の相続放棄をすることでかえって損をしてしまうことも考えられます。
不動産の相続については日高法律事務所にご相談ください
不動産の相続放棄にはさまざまな注意点があるため、自分の直面しているケースでは相続放棄をするのがよいのか否かをよく考えることが大切です。
もっとも、相続財産についてどのような対応をするのがベストなのか、自分ではわからない場合も少なくないと思います。
また、相続放棄の期限は3か月と短く、相続放棄を取り消すことは原則としてできないため、判断も難しいものとなっています。
そのため、自力では判断に迷ってしまうような場合には、法の専門家である弁護士への相談をお勧めしています。
日高法律事務所は、相続に強い法律事務所です。
相続放棄に関してお悩みのことがおありの場合は、お気軽に日高法律事務所までご相談ください。
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弁護士 日高 伸哉【大阪弁護士会】
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- 経歴
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- 関西大学法学部 卒業
- 登録年 年(旧61期)
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