契約不適合責任とは?免責や期間などわかりやすく解説
不動産を購入した際、後になって雨漏りが発生していたことがわかったり、経年劣化があることがわかったり、といった場合があります。
このような場合、契約不適合責任を問うという手段が考えられます。
不動産における契約不適合責任とは、どのようなもので、どんな効果を持つのでしょうか。
また、発生した場合であっても免責があったり、期間の制限にかかったりすることはあるのでしょうか。
旧法の瑕疵担保責任と混同してしまうことで思わぬトラブルにつながってしまう可能性もありますので、現行法の制度について正しく理解しておく必要があります。
この記事では、契約不適合責任についてわかりやすく解説していきます。
契約不適合責任とは
そもそも契約不適合責任とは、引渡しのあった目的物が当初に予定されていた種類・品質・数量に適合していない場合に、売り主が負担する責任のことを指します。
不動産においては、例えば雨漏りがあったことや、不動産の面積が合意のあった数値に届いていなかったことなどが考えられます。
かつての瑕疵担保責任と同じ役割を果たしますが、瑕疵担保責任は買主が通常の注意を払っても発見できなかったような隠れた瑕疵に対する責任であったのに対し、契約不適合責任は契約に適合していない事項に対する責任になります。
そのため改正前と比べると契約の内容がより重要となってきます。
また、追完請求権や代金減額請求権が認められるなど、細かい点で修正がかかっています。
契約不適合責任が認められた場合には、契約を適正な形に落ち着けるため、または契約から解放されるため、買主には以下に列挙する種々の権利が認められます。
以下、それぞれについて解説していきます。
解除権
契約不適合があるときには、契約の解除を行うことができます。
この場合当事者は契約から解放され、原則的には契約を締結する前の状態に戻ることができます。
もっとも、契約内容に比して不適合が軽いときは解除が認められないこともあります。
損害賠償請求権
契約不適合と因果関係のある損害が買主に生じているときは、損害賠償請求権が認められます。
もっとも、天災が起こった時など、売主のせいとはいえない契約不適合があった場合には請求ができませんので、他の救済措置を選ぶことになります。
履行の追完請求権
契約不適合について、売主が追って本来の形での履行を行えるような場合には、買主には追完請求権が認められます。
この権利は、瑕疵担保責任にはなく、契約不適合責任において新たに認められたものです。
これによって、買主は売主に対して不足している数量の目的物を求めたり、瑕疵のある目的物を直させたりして、本来の契約内容を実現させることができます。
例えば、雨漏りを直させるような場合がこれにあたります。
もっとも、不動産の面積を後から増やすことはできないように、不適合の性質によってはこれを行使できないこともあります。
また、不適合が買主のせいで起こってしまったような場合には、この請求をすることはできません。
代金減額請求権
追完請求権を行使して追完の催告を行っても、期日内に売主が何らの対処もしてくれないような場合には、買主には目的物の不適合の程度に合わせて代金を下げてもらう権利も認められます。
また、目的物や契約の性質上、後から履行をすることができないような場合や、売主が請求を拒む意思をはっきりと示しているような場合には、買主はただちに代金を下げてもらうよう求めることができます。
契約不適合責任の期間
契約不適合責任の制限期間は、不適合が種類・品質についてのものか、数量・権利についてのものかで異なります。
さらに、買主が業者である場合にはまた異なった期間が設定されています。
以下、それぞれについて見ていきましょう。
不適合が種類・品質についてのものである場合
目的物の種類・品質に不適合がある場合には、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しなければなりません。
また、請求自体については別途通常の消滅時効にかかります。
そのため、権利の行使が可能だと知ったときから5年、または知っているか知らないかを問わず権利の行使が実際に可能になった時から10年以内に行う必要があります。
不動産については主に種類・品質についての不適合が問題となりやすいと思われるので、特にこの点に注意しておきましょう。
不適合が数量・権利についてのものである場合
目的物の数量や権利それ自体に不適合がある場合は、不適合が売主にも明確であるため、通常の消滅時効以上の規制は設けられていません。
そのため、先程と同様、請求を権利の行使が可能だと知ったときから5年、または知っているか知らないかを問わず権利の行使が実際に可能になった時から10年以内に行う必要があります。
買主が業者である場合
業者の場合には個人の場合と異なり、目的物を受け取ったら直ちにこれを検査しなければなりません。
そして、その結果契約不適合が発見された場合には、売主に対して直ちに通知を行う必要があります。
この通知を欠いた場合には、先程記載したような種々の請求を行うことは一切できなくなってしまうため、特に気をつけることが必要です。
契約不適合責任の免責
契約不適合責任においては、契約時にあらかじめ特約を設定しておくことによって、免責を受けることが可能です。
もっとも、このような特約の設定にはいくつかの注意事項があります。
以下、それらについて見ていきましょう。
買主にとって一方的に不利なものである
万が一目的物に契約不適合があった場合、買主は何の保証も得られなくなってしまいます。
そのため、買主側としては、不動産の売買契約を締結する前に、契約書をよく見ることで特約の有無や内容についてよく確認しておく必要があります。
特約は双方の合意がない限り有効に成立しない
裏を返せば、買主としては不利な特約事項であっても、同意さえしていれば有効なものとなってしまいます。
双方の合意のもと契約がいったん成立してしまうと、基本的には免責事項を後から無効にすることは認められなくなってしまうため、事前の確認が非常に大切になってきます。
免責の条件は売主の属性によって異なる
売主が個人である場合、宅建業者である場合、それ以外の法人である場合でそれぞれ異なる免責条件が設定されています。
売主が個人である場合には、免責の条件は当事者間で任意に決定することができる一方で、売主が宅建業者である場合には、目的物が売られてから2年の期間を超えるまで売主が免責されることはありません。
また、売主がそれ以外の法人である場合には、引渡し直後からの免責は不可となっています。そのためおよそ1年程度は売主が免責されることはないといえるでしょう。
契約不適合責任については日高法律事務所にご相談ください
不動産についての契約不適合責任の効果は多岐にわたります。
購入した不動産が契約の際思っていたものと違った、契約不適合責任を追及されてしまったなどのトラブルが発生してしまったような場合には、弁護士への相談を行うことで問題が解決したり、交渉を有利に運ぶことができたりするような場合があります。
そのため弁護士への相談は非常におすすめです。
日高法律事務所では、不動産トラブルについてのご相談を承っております。
契約不適合責任について弁護士をお探しの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。
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- 関西大学法学部 卒業
- 登録年 年(旧61期)
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